【通信制大学から外部院試】心理系大学院入試対策で使用したテキスト


本記事では、
通信制大学から、他大学の心理系大学院に外部受験し何とか合格することができた筆者が、受験勉強で実際に使用していたテキストを紹介していく。

私と同じように、通信制大学から他大学大学院へ外部受験することを考えていらっしゃる受験生の参考に、多少なりともなればと思う。

筆者について

本題に入る前に、軽く筆者の自己紹介をする。

某通信制大学の心理学科4年生で、今年度の秋、某大学大学院4校(どれも学部偏差値60程度)を外部受験し、3校に落ち、1校だけ辛くも合格した。

予備校には通っておらず、また性格が積極性皆無の根暗コミュ障陰キャなので心理学科に友達は一人もおらず、そのため情報戦ではかなりの苦戦を強いられた。

おまけに頭があまり良くなく(※知能指数は平均以下。しかも群指数の一部に致命的な凹がある)、院試の勉強そのものにも大変苦戦した。勉強しても勉強しても知識が頭に入って来ず、入試直前期まで基礎知識さえままならなかった。そのため十分な対策を行えないまま院試本番を迎えることになってしまったこともあり、どちらかと言うと劣等であまりパッとしない受験生であったと自覚している。(詳しくはコチラの記事を参照)

さて、これから院試対策において実際に使用したテキストを紹介していくわけであるが、通信制大学からの大学院受験に関する情報については、
通信制大学から心理系大学院合格までの道のり
というサイトにかなり詳しい解説があるので、まずはそちらを参照されることを強く推奨したい。このサイトの運営者はお見受けするところ大変優秀な方であり、私よりもずっと価値のある情報を提供されている。はじめの内は、優秀な(元)受験生の情報の方を参考にしていただきたいと思っている。

ただ、「決して優秀とは言えない受験生の実情も知りたい」というニーズもあるかと思うので(受験当時の私がそうだった)、本ブログにおいても、大学院入試に関する情報を幾つか出していこうと考えているわけである。

実際に使用したテキスト

基礎心理学


使用したテキスト:心理学専門校ファイブアカデミー著『心理学 キーワード&キーパーソン事典』ナツメ社

基礎心理学の勉強で私が主に使用したのは『心理学 キーワード&キーパーソン事典』である。
このテキストは非常に多くの、かつ幅広い分野の心理学用語が網羅されており、またそれにも関わらず各用語の解説が比較的しっかりとされていたので、受験勉強において大変重宝した。

ただ、そうは言っても非常に多くの用語がこの一冊の中でコンパクトにまとめられているという性質上、用語によっては解説を読んでも理解できないものがあるかも知れない(筆者にはあった)。そのような場合は、学校で配本された教科書等を別途開いて、理解できなかった部分を補足するといった対応が必要になる。

ところで基礎心理学といえば、他に多くの方が口々に
・河合塾KALSの『公認心理師・臨床心理士大学院対策 鉄則10&キーワード100 心理学編 (KS専門書)』や
・東京大学出版会の『心理学 第5版補訂版
をオススメに挙げているはずなので、結局のところは、これらのテキストと先に紹介したものとを比較して、今の自分に合っていそうなテキストを選択するのがベストと思われる。

論述問題


使用したテキスト:河合塾KALS監修『公認心理師・臨床心理士大学院対策 鉄則10&過去問30 院試実践編』講談社

論述問題の勉強で重宝したのが『公認心理師・臨床心理士大学院対策 鉄則10&過去問30 院試実践編』である。

実を言うと、私は入試直前期まで論述系の問題がさっぱり解けなかった。というのも、論述問題では、何をどう記述すれば的を射た解答になるのか、全く判断がつかなかったためである。

単なる用語説明問題――例えば、「レスポンデント条件づけとは何か」「社会的参照とは何か」「統合失調症とは何か」といった問題――であれば極端な話、手元の教科書にある用語の解説を答案用紙上にコピー&ペーストできれば、そうそう的を外した解答になることはないと思われる。

だが一方で、論述問題――例えば、「カウンセラーは心理療法において、自分自身の価値観を持ち込んではいけないとされている。このことについて、あなたの考えを述べなさい」とか、「医学モデルと臨床心理学のクライエント理解の異同について述べなさい」とか「心理的アセスメントにあたって重要となる三つの着眼点を答えよ」といった問題――には、一体全体、何をどう解答したら良いのか、自分では皆目検討が付かなかったわけである。

が、先に紹介したテキストでは、過去問をもとに「論述問題では何を解答することが求められているのか」「そのために必要となる前提知識は何か」といった、論述問題への解答(ないしそれを対策)する上でのポイントが解説されており、情弱の私としては大変助けられたものだった。このテキストのお蔭で私は、今年度の大学院試験に合格できたといっても過言ではない。それほど感謝を述べたい一冊である。

ただ、この一冊であらゆる論述問題に対応できるようになるかと問われると、「そうではない」と言わざるを得ない。ここで取り上げられている問題はせいぜい30問なので、その他の問題に関しては自力で解答を作成する必要がある。

論述対策として利用できる他のテキストとしては、
・西郡雄次郎著『短期決戦!心理学論述対策 人気校・ブランド校編』
・西郡雄次郎著『短期決戦!心理学論述対策 難関校編』
があり(※こちらは出版年数が10年以上前のものなので、記載されている情報が古いことに注意)、これらを追加でやることによって、もう少し広い範囲の論述問題に対応することができる。が、無論これをやったとて、「全ての論述問題」に対応できるわけではない。

私の合格した大学院では幸いなことに、上記のテキストをやるだけで十分対応が可能だったのだが、他の大学院ではそうもいかないかも知れない。ご自身の志望校の問題傾向と照らし合わせた上で、本テキストを購入するかしないかを決定されるのが良いかと思う。

心理学統計法・研究法

使用したテキスト:石井秀宗・滝沢龍編『公認心理師カリキュラム準拠[心理学統計法・心理学研究法]臨床統計学』医歯薬出版株式会社

受験する大学院によっては、入試問題に「心理学統計法・研究法」が出題されることがある。私の受験した4校はいずれも毎年統計の問題が出題されていたので、それについて対策する必要があった。

また私の在籍している通信制大学では、心理学統計法・研究法に関しては大学院入試に対応できるほどの深い学習を行わなかったので、大学で配本されたテキストよりも更にハイレベルのものをやる必要があった。

そこで使用したのが『公認心理師カリキュラム準拠[心理学統計法・心理学研究法]臨床統計学』である。このテキストの良いところは、通信制大学では詳しく学習しなかったものの、大学院入試では必要となる基礎的な知識――例えば、「多重比較」や「第1(/2)種の過誤」、「因子分析」、「(重)回帰分析」、「多重共線性」、「標本誤差や標準誤差」といった概念――が網羅されていたことと、各章のはじめに、その章を学ぶ上での到達目標が書かれている(=その章の重要事項が何であるか分かる)ことである。お蔭で、試験本番では統計の問題で大きく失点することは免れることができた(はずである)。

が、やはり心理学統計法・研究法は非常に難しい(というか親しみにくい/とっつきにくい)分野なので、独学で習得するのは大変だと(それなりに時間を要すると)思われる。更に、通信制大学で配本された教科書と、ここに挙げたテキストの間にはレベル的に相当乖離がある気がしている。

そのため、このテキストを独力で読むのは結構骨が折れるのかなと思う(私がそうだった。最終的にテキストを何周したか分からない)。従って、果たしてこのテキストが多くの方々にとって「オススメできる最適のものなのか」と問われると、あまり自信がない。本屋でチラッと覗いてみて、どうにも読めそうにない/分かりにくいと感じたら、間にもっと容易で分かりやすいテキスト(例えば、河合塾KALSの『鉄則10&キーワード25 心理統計編』)を挟む等、段階を踏むのが吉かと思われる。

英語

○単語
使用したテキスト:宮川幸久著『英単語ターゲット1900』旺文社

英単語に関しては、大学受験時に使用していた『英単語ターゲット1900』を使用していた。一般的な英単語を覚えるに当たっては、受験時代に使用していた英単語帳を各々復習すれば良いのではないかと思う。特に『英単語ターゲット1900』である必要性はないと考える。

またそれに加えて、読解問題(※心理系大学院対策用の英文読解問題のこと。下記の「長文読解」の項を参照)を解いている中で訳せなかった単語を都度紙にメモして、そのメモを単語帳代わりに何度も繰り返すこともしていた。私の場合は、それが心理系英単語に特化した勉強となっていた。

ただ一般的に「心理系英単語」を覚えるに当たっては多くの場合、山崎有紀子著の『心理院単』が多くの人から支持されているはずなので、そちらを使用するのが無難かなと思う。ただ、長文読解中に分からなかった単語を記録しておく勉強は、やっておいて良かったなと思っている。

○英文解釈
使用したテキスト:篠田重晃・玉置全人・中尾悟著『英文読解の透視図』研究社

このテキストは、英文の文構造(SVOC)を見抜く技術を習得し、より正確な英文読解(日本語への翻訳)の実現を目指すためのものである。

英文を読んでいて、「文中の単語は全て知っているはずなのに、全然日本語に訳せない」とか「違和感のある翻訳にしかならない」といった経験はないだろうか。その原因は色々と考えられるだろうが、もしかすると、それは正確な文構造の把握ができていないからかも知れない。

例えば、

Things we thought we wanted most intensely we realize we don’t care about.

↑のような英文を正確に日本語訳するためには、各単語(ないし文)の文構造(SVOC)を適切に把握する必要がある。それができないと、間違った翻訳になってしまう可能性が高まってしまう。

このテキストでは、英文の文構造(SVOC)を把握するために必要な知識や考え方の基礎を学び、それに基づき、論理的に文構造を確定させる練習を行う。上の例で言えば、

・“care about”の後に目的語(O)がないこと
・長たらしい目的語(O)は文頭に移動することがあること
・thought と wantedが過去形である一方、realize と care aboutが現在形であること

等の事実や知識を基に、論理的に

“Things we thought we wanted most intensely”が“care about”の目的語(O)である
→文の主節は“we realize”である
→ということは、元の文章は“We realize we don’t care about things we thought we wanted most intensely.”であり、訳は「私達は、自分達が最も強く望んでいると考えたものを(今は)何とも思っていないことに気付く」となる

といった風に、正しく文構造を捉え、正確な翻訳を行っていく練習をするわけである。

実際、私は英語弱者なのであるが、このテキストによって文構造(SVOC)を比較的正確に捉え、それに基づいて日本語訳することができるようになったお蔭で、英語の試験で見当違いの翻訳をしてしまう割合が減り、何とか、致命的な失点をせずに済んだものと考えている。

ただし、英文解釈のテキストは『英文読解の透視図』の他にも色々あるので、必ずしもこの本でなければいけないというわけではない。『ポレポレ英文読解プロセス50』等も有名なテキストなので、それらと比較した上で、購入するものを決めたいところである。

○長文読解
使用したテキスト:山崎有紀子著『心理英語 読解&文法マスター』ナツメ社
河合塾KALS監修『公認心理師・臨床心理士大学院対策 鉄則10&キーワード100 心理英語編』講談社

長文読解に関しては、上記の二冊をほぼ「一日一題」のペースでやっていた。

問題を解く中で訳せなかった単語については都度メモに記載し、英単語帳と一緒に何度も見返していた。

また直前期には、志望校の過去問を実際に解いてみて、内容をDeepLで翻訳したものと自分で作成したものとを照らし合わせて、きちんと翻訳できているかどうかのチェックを行っていた(とは言うものの、こちらに関しては大した量をこなせなかった、というのが実情であるが.)

ここで紹介した二冊は院試対策において無難なもののはずである。英語は少しでも良いから毎日読むことが大事だと考えている(でないと感覚が鈍る)ので、こういったテキストを使用しながら、色々な心理系の英文に触れるのが良いかなと思う。

あ、あと長文読解対策に関しては、割と多くの方が『Atkinson & Hilgard’s Introduction to Psychology [Paperback] [Jan 01, 2015] Susan Nolen-Hoeksema』を読み進めて勉強したという報告をされていたはずだが、私はこの本には一切、手を付けていない。理由は単純で、「自分の英語レベルでは洋書で勉強することは難しい」と思ったためである。学力を確実に向上させるためには、身の丈に合ったテキストの選択が欠かせない。(※ただしこのヒルガードの心理学に関しては訳書(ヒルガードの心理学 第16版)も出ているらしいので、それを使って勉強することもできないことはない)

 

最後に

以上が、通信制大学生が大学院入試対策において、主に使用したテキストである。

予備校にも通わず、友達もいない中で勉強されている通信制大学生の方は取り分け、孤独感や、情報戦でのハンディキャップに苦しめられるかと予想されるが、そんな状況にあってもこうして、どうにか院試を突破することができた人間もいるにはいるわけである。

であるから、私としてはそういった方も決して希望を捨てずに、合格を目指して頑張って欲しいと思っている。

 

大学院入試 結果

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