27歳。3年間勤めた会社を辞め大学生になる。

また随分イカれた記事を投稿したものだ

と思われるかも知れないが、今回も大マジである。

私は三年間勤めた会社を今年度末に辞め、

通信制の大学で「心理学」を専攻することになった。今回はそのご報告。

 

【経緯】

1.仕事内容
3年前の4月。私は「障害福祉」の分野で、社会人生活のスタートを切った。

当初、私が配属されたのは「通所施設」。知的障害(多くは“最重度”)を持った方々が「日中作業」することを目的に、毎日自宅から通う施設だった。

私達の目標とするところは、

施設に通う利用者を幸せにすること

にきっと間違いはないのだけれど、これをもう少し分解するなら、

Ⅰ 利用者の意思を適切に汲み取り
Ⅱ 利用者の能力ポテンシャルを最大限に引き出し
Ⅲ 利用者に「新しい体験」の機会を提供する

といった内容になるのではないかと、個人的には考えている。

よって私達の仕事は、

ⅰ 上記「Ⅰ~Ⅲ」を実現するため、「利用者にどんな環境を設定できるか」をしっかり考え、
ⅱ「重度知的障害」を持つ方々の必要とする「介護サービス」も同様にきちんと提供していく

ことであると、個人的に認識している。まあ詳しいことは別記事で詳述しようかなと思っている。

私の働きぶりはと言うと、
会社からの評価を鵜呑みにする限り、幸いなことに、私はこの三年間、
「無難に仕事をやれている」
らしかった。

 
2.通信制大学入学
私が通信制大学に入学したのは、社会人2年目の4月だった。実は「ほんの軽い気持ち」で入学した。

元々、「人の心理」というものに漠然とした興味があった。そしてそれよりももっと興味のあったのが、
自分の心理について
だった。

私は小さい頃から、「良い子ちゃん」として生きてきた。

皆から嫌われないよう、
否定されないよう、
そしてあわよくば好かれるようにと、

周囲の人々に過度の迎合をし、出来る限り、私という存在が、周囲の人達にとって不都合なものにならないよう注意しながら、と、そればかりを考えて、生きてきた。取り分け学生の時分は、親や教師から好かれるためには「良い子ちゃん」を演じるのが一番だったため、学生生活における私は間違いなく「良い子ちゃん」だった。

けれども、「良い子ちゃん」の仮面を被るその裏で、私は自己を失っていた。私は「自分」というものがよく分からなかった。私の行動動機といったら、その大半が、

・他人から嫌われないこと
・他人から認められること
・他人から評価されること

に集約されてしまっていて、私の人生の目的なるものは、
「自身を満足させること」
よりも、
周囲から『凄い!』と言われること
になっていた。

私は周囲から「凄い!」と言われること以外に、自身を喜ばせる術を知らなかった。そのため、
人様から賞賛され得るだけのポテンシャル
を自身に感じられなくなった大学時代を境に、私は人生に対する虚無感を覚えるようになっていった。そしてその「虚無感」というものは、就職して以降も、自身の中で残り続けていた。私はただ「生きている」というだけで、どこか張り合いのない、虚しい感情を抱き続けていた。

長い期間自己喪失していたから、人として中身が空っぽだ

 
さて色々と自分のことを書いてきたが、当時の私はここまで自己分析が進んでおらず、ただ漠然とした、理由の判然とせぬ「虚しさ」を抱えながら生きていた。

また、当時私はそうした「漠然とした虚しさ」を抱える自身を
愛着障害とやらいうものを抱えているのではないか
と考察していた。そのため、「愛着障害」という概念に対する興味が次第に湧き始め、この時から休日は文庫本を片っ端から読み漁り、「愛着障害」について勉強していたものだった。

そうして「愛着障害」について勉強していく中で、ゆくゆくは、
“愛着障害”で悩める人々に、その改善に向けた有効なアプローチを提供できる人間になりたい
なんてことを考えるようになっていった。

そして大学の出願書類の志望動機欄(だったかな?)に
「愛着障害に悩める人々に有効な心理的アプローチが出来るようになりたいから」
みたいなことを書いて提出、無事、入学が決まったのだった。
 

3.勉強放棄
入学当初は、
今の仕事と並行してやっていければいいかな~
くらいの、軽い気持ちでいた。

社会人2年目からは配属が「グループホーム」となり、私一人で、六人の利用者の生活介護をすることになった。経験の浅い私はほぼ孤立無援の中、四苦八苦しながら業務に当たることになった。

グループホームは辛いよ

境界性パーソナリティ障害っぽい人と対峙した9ヶ月

学校の方では、夏頃までは、休日や空き時間を使って教科書を読んだり、レポートを書いたりして、学生らしい生活をしていたものの、

夏期スクーリング(7~8月に行われる対面の授業。一部科目は大学のキャンパスへ赴き、実際の授業を受けなければならない)に参加したのを境に、長いこと、燃え尽きてしまった。

「燃え尽きてしまった」理由は幾つかあって、

(1)仕事の疲れ
(2)自身の心理分析の方が優先度高かった
(3)「私に勉強は無駄」という“負け犬根性”の強さ

の三つが挙げられる。

(1)について
1週間のうち実に5日間を労働に捧げていると、どうしても残り2日の休日を
「教科書を読む」
ことに捧げられず、ダラダラ過ごしてしまうことが多かった。それに、夏期スクーリングに参加した折には、

労働→労働→労働→労働→労働→学校→学校→学校(有給)→労働→労働→労働→労働→休日→休日→労働→労働→労働→労働→労働→学校→学校→労働→労働→労働→労働→労働

のような「涙ぐましいスケジュール」が待っていて、こうなると仕事においても学業においても、とても維持出来るだけの気力を保つことが出来なかった。

(2)について
私は自身の内面を巣くう「虚無感」を少しでも和らげたかった。そのため、
「教科書を読んで心理学における幅広い知見を得ること」
よりも
「自身の内面で起こっている虚無感にピンポイントで作用する何か」
を求めていて、つい、“教科書”よりも“自身で買ってきた興味ある心理の本”ばかりに手が伸びてしまっていた。

疲れた。

(3)について
私は、
自分の頭があまり良くないこと
に対して、多大なるコンプレックスを抱えている。それは“過去の実体験”を通じ全身の隅々まで叩き込まれた意識であって、私には“勉強”というものに対する底なしの「負け犬根性」が染みついてしまっている。

負け犬根性

そのため「勉強」というものをしていると、脳内では“必ず”と言って良いほど
君が勉強したところで意味がないよ
という声が聞こえてきて、その都度勉強に対するモチベーションが失われてしまうのだった。
 

その結果、私は
「大学生としてあるまじき、舐め腐った、恥じ入るべき単位取得数」
で、1年目の大学生活を終えることになってしまった。
 

4.退職決意
入社して3年目の夏、社内で「勤務形態の改悪」が起こり、勤務時間が不規則になった。またそれに伴い私の業務も大幅に改悪されたわけだが、この「新たな業務」というものが(個人的に)実になかなか難解なものだった。

適応戦略

私の会社は、
「普通の施設では(支援が難しいからという理由で)受け入れて貰えなかった方々」
を積極的に受け入れていた。

そのため、そうした方々と関わる際には、やはりそれなりの知識と経験が必要になるはずではあるのだが、

あいにく、私の会社(というか福祉業界全体か?)の離職率は高かった。私が1年目に配属された「通所施設」ひとつ取っても、僅か1年間で、そこにいた正社員の50%が会社を去ってしまった。
7人いた私の同期も、そのうち5人が「3年未満」でこの会社を去った。

社員の入れ替えが激しく、「ベテラン社員」がなかなか育たない現状、「社員への教育」はどうしても手薄になる。

それゆえ、教育不十分のまま社員を現場に投入せざるを得なくなる。結果、社員は現場で「どう対応すればいいか分からない」「何が正解か分からない」といった課題に直面し続ける。中には精神を病んでいく者も少なくなく、結局、この業界に残るのは

「この仕事が心の底から好きだ」
という人か、
「メンタルの強靱な人」
のいずれかであった。

3年目にして「教えてくれなきゃ何も出来ません」状態では会社側としても甚だ困るのだろうが、残念なことに私も上記の課題に直面していた。私はこうした

「問題にどう対処すれば良いか分からない」
「何が正解なのか分からない」

現状に、閉口し切っていた。

また、「不規則勤務」による身体的疲労には耐え難いものがあった。自律神経が頻繁にイカれ、抑うつが激しくなっていき、尚、仕事に対するモチベーションは低下していった。
 

そして「退職」の決定打となったのが、

お金の掛かる趣味を持たなかった私の手元には、
一定期間、勉強だけに身を捧ぐことが出来るだけの貯金があった

ということだった。

私は自身の専門性を高めるべく、仕事を辞め、勉強に専念することにした。専門性が高まることにより、現場において何かの課題に直面した際、

「どう対処すれば良いか分からない」
「何が正解なのか分からない」

といった困難を抱えにくくなるはずだと考えたためだ。

それから私は、この「不規則勤務」からどうしても逃れたかった。不規則勤務により、どれだけ私のQOLが低下しているか分かったものでない。

さて「勉強に専念すること」を決めた以上、私は「勉強」に対し全身に染みついていた「負け犬根性」を払拭する必要があった。

そこで私は、「頭の使い方」に関する書籍を手に取り、
頭の良い人と言われる人達は、一体、どのようにして頭を使っているのか
を勉強していった(勉強のための勉強ですね)。

ここで、
頭が良いと言われる人の思考回路を見事に言語化している
という点で素晴らしい書籍と出会った。西岡壱誠氏の『東大思考』という一冊である。頭に関してコンプレックスがおありの方は、是非一読されたい名著だ。

私はその『東大思考』を何回も開いては、そこから得られた知見を日々の生活で実践していった。

その結果、こんな負け犬な私でも少しずつ、効果的な頭の使い方が出来るようになっていき、
あれほど
読んだらその内容をすぐ忘れてしまう
ことに悩まされていた読書(読んだ本の内容記憶)が、ある程度できるようになってきたのだった。

以下の記事は『眠る投資 ハーバードが教える世界最高の睡眠法』という本をもとに書いたものだが、

「抑うつ」の正体を“身体の疲れ”から考察


この記事を書くにあたって、私はほぼその本を再読することなく、頭の中にある知識を引っ張り出すだけで書いている。
幾ら本を読んでもその内容をすぐ忘れてしまう
ことに悩まされ続けていた人間が、頭の使い方の改善により、ここまで出来るようになるのだから驚きだ。私はこの事実が嬉しくて仕様がなかった。

――以上のものはほんの一例だが、何はともあれ、私はこの期間、自身の「勉強」に対する「負け犬根性」を払拭しようと努め続けた。勿論「負け犬根性」は完全に払拭されたわけではないけれど、
負け犬根性が強すぎて勉強に身が入らない
という状況は、どうにか回避できる目処がたった。結果、私の勉強に対するモチベーションは大幅に向上した。

「勉強はムダ」の信念を乗り越えて

さて「勉強」にモチベーションを得た私は現状、福祉よりも心理の方に興味を持っている。
そのため、専攻するのは引き続き「心理学」とし、

将来は恐らく「福祉職」ではなく「心理職」として、世に出ることになるかも知れないと、今は思っている。

――こんなところが、今年度末の「退職」に至る、私自身の「経緯」だ。
 

【会社に対してどう思っているか】

前項では、会社に対するネガティブな側面ばかり話してしまった気がする。けれども私は「退職」が決定した今となっても、この会社には感謝をしている。

私は大学生の頃、就職活動が上手く行っていなかった。ボロボロの大学生活を送り、アイデンティティーもろくに確立しておらず、また自分に自信を全く持てていなかった私は、自分を“PR”しなければならない面接の場でことごとく失態を演じては、選考に落ち続けてきた。

そんな中、私という人間、私の歩んできた人生を「見込みがある」「面白い」と感じ、採用してくれたのが今の会社だった。

更に、大学時代は間違いなく
在籍大学のお荷物
的存在だった私だったが、

この会社は、初年度から「退職」の決定した今に至るまで、私の仕事ぶりを事あるごとに評価し続けてくれた。私が日常的に本を読む中で得られた知見を、職場で発信し、活かそうとする姿勢を評価してくれていたとのことだったが、大学で「お荷物的存在」をやっていた私にとっては、その事実でどれほど心が救われたことか、その程度はまこと名状しがたいものがあった。

上司や先輩方にも、どれほどよくしていただいたか分からない。仕事柄なのか、とにかく「良い人」が多かった。私は「職場の人間関係」で困ったことは殆どない。

「退職」の意向を申し出た際も、何度か止められはしたけれど、誰一人として皮肉や否定的なことを言う人はいなかった。それどころか、最後は決まって「応援する」と言ってくれたものだった。

要するに、私はこの会社に、否定的な所感ばかり持っているわけでは決してない、ということだ。私という人間を「見込みあり」と感じ、「戦力」として扱い、その仕事ぶりを「評価」してくれたことに関しては、大変、感謝をしている。
 

【辞めた後どうするのか】

取り敢えず大学を出る。その後、大学院へ進学し、公認心理師の国家試験受験資格を得るつもりでいる。

ちなみに「公認心理師」というのは、心理学に関する唯一の国家資格のことだ。受験資格を得るためには、大学院に進む必要がある。

ただその前に、ひとまず、労働により疲れ切った身体を休めたい。今はとにかく思い切り寝たいし、生活リズムを整えたいという願望があまりに強い。

だがそれ以前に、残り数日となった労働を頑張らなくてはならない。実は来週に結構な「正念場」を控えていて、今からそのことを考えるだけでかなり憂鬱になってくるのだが…
まあ、残り数日、耐え凌ぐしかないわな。

11件のコメント

  1. 前にもコメントしたねこさんといいます。
    私もアラサーで4月から大学に通うことになりました。進路に迷っていた数年前、ふくろうさんの仮面浪人日記にシンパシーを感じて、助けられていました。
    私も同じく、人の精神状態に強く興味をもち、医学の分野で自分のhspな側面を活かして仕事をしたいと考えております。
    急にコメントで恐縮ですが、お互い頑張っていきましょう。

    1. お久し振りです。再びコメントをくださり、ありがとうございます。

      大学いいじゃないですか!学問に年齢は関係ありませんから、お互いにバシバシ専門性を高めて、一人前の専門家として活躍していきましょう。あと医学からのアプローチってことは、目指すは精神科医とか、その辺りでしょうか。

      いずれにせよ、人生って本当に何があるか分かりませんね。幅広い視野を持つことで、人生はある程度変えられる、ということを自身少しずつ学びつつあります。
      自分に合った生き方を、これからも模索していきたいものです。

  2. 返信ありがとうございます。
    そうですね。精神科医を一候補として考えております。

    わたしもふくろうさんも、他の人には持っていない鋭い感性をもっていて、きっとメンタルに関わる仕事では強みになると考えています。
    これからのことは読めませんが、何かがあっても腐らずにこの道を歩んでいきましょう。
    感受性が豊かな同志として、陰ながらご活躍を祈念しております。

    1. やはりそうでしたか。
      精神科医に公認心理師・・・痺れますね。
      精神科医となりますと、大学は「医学科」に行かれるわけですよね。医学科入学とか、ねこさんめっちゃ優秀なんですね、びっくりしましたよ。

      そうですね。お互い、持ち前の感受性やこれまでの人生経験を活かして良き臨床家になれるよう、頑張っていきましょう。

  3. お疲れ様です!

    大学に進学されることにしたんですね!前々から心理学の勉強されてたので、大学で学ぶのも一つの選択肢としてありだろうと思っておりました。

    自分がしたい勉強が出来るのが大学の醍醐味の一つだと思いますので、ようやくその環境に専念することが出来て良かったです!

    仕事は3年間お疲れ様でした!僕もなんとかエンジニアを続けております!最近は目標も出来たのでそれに向かって頑張ろうと思います

    1. お久し振りです。すばるさんもお元気にされているようで、安心しています!

      仕事と勉強の両立は難しかったので、勉強に専念できる期間を設けられたことは本当に良かったと思っています。貯金がなかったらどうなっていたことやら…

      すばるさんも最近になって目標をお持ちになったそうで、同じ何かを目指す者としてシンパシーを感じます。将来、お互い大きな花を咲かせましょう!

      1. Pythonエンジニアになろうと思っています、今は言語としてJavaやC♯を担当していますが、これから伸びる言語はPythonだと思います。アメリカではシェア率が50%を超え、今一番注目されている言語であるからです。

        後はデータ分析に興味があるので、データ分析に携われるPythonの世界で活躍するのが目標です。

        僕は受験や部活の世界では劣等生でしたが、それは受験や部活に向いてなかっただけであって、Pythonの世界で活躍出来ないわけではない、たった二つの尺度で敗北の烙印を押されただけで、全てを諦めるのはあまりに早計だと思うようになりました。

        僕は必ずPythonの世界で活躍する、ふくろうさんも心理学の世界でスペシャリストを目指してくださると嬉しいです、お互いに大輪を咲かせましょう!

          1. あ。めちゃめちゃ具体的なんですね、素敵です。

            そうですそうです。たった二、三のフィールドで芽が出なかったからと言って、他の可能性まで潰してしまう必要などないのです。全くもって同感です。
            自分の力を発揮できるフィールドを模索し、時には努力で勝ち取ることって大事ですよね。私も最近になって、ようやくそれが分かってきた…

  4. はじめまして。初めてコメントしますが、仮面浪人ブログの頃からときたま見にきていました。その時は私も大学生でしたが……本当に時が経つのははやいですね。
    一旦社会に出てからもう一度大学で学ばれるとのこと、すっごく良いと思います。あと、単純に羨ましいです笑 
    ブログ読みながらこの人文章うまいなぁというか、単に文章がうまいだけではなくて物事を深く考えることに長けているんだろうなぁとずっと思っていたので、心理学の研究すごく向いているのではと思います(知ったような口で申し訳ありませんが)
    学生生活楽しんでくださいね!では!

    1. はじめまして。アメブロ時代からの読者さんとは胸熱です。しかも同年代の方なのですね!

      大学の件、ありがとうございます。私の場合、ある程度の貯蓄が私の決意を後押ししてくれた印象です。やはりお金の力は偉大ですね… Viva,お金…

      それから、“文章&内省”に関してもお褒めいただき大変恐縮です。この先研鑽を積んで、よりクオリティーの高い記事を書けるよう研究の方と共に頑張ります!

      通信制の大学なので(数少ない対面授業も今年はオンラインでしょう)基本自宅に引きこもって勉強することになりますが、自分のペースで第二のモラトリアムを満喫しようと思います。コメントありがとうございました。またこれからもよろしくお願いします。

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